「盆はうれしや別れた人も 晴れてこの世に会いに来る」
お盆は一年で一番大きな仏教行事ともいえるくらい、ほとんどの人が関わる行事です。帰ってくるご先祖様をお迎えし、たくさんの野菜や果物など食べ物をお供えして供養します。お仏壇やその周りは、いつも以上にたくさんのお供え物で飾られているでしょう。
さて、お盆が終わった後のことです。お供えしたたくさんの食べ物はどうしているでしょうか?ご先祖様を供養するためにたくさんのお供え物をするのはいいけど、どのように処理をすればいいか困っていないでしょうか。
ここでは、お盆にお供えをしたお供え物の処理について説明します。
お供え物はどうしたらいい?
帰ってくるご先祖様に、野菜や果物などたくさんのお供えをします。
さて、そのお供え物はその後どうしたらいいのでしょうか?
できるだけ食べましょう
お供えした食べ物は、できるだけお下がりとして食べるようにしましょう。
食べ物をお供えすることはとても大切なことですが、それをお下がりとして食べることも供養となり、また大きな功徳があります。
もちろん、腐った物まで食べる必要はありません。
しかし、食べられるものまで処分してしまうのは、食べ物の命を粗末にしてしまう行為にもなります。
お供えした物は、料理に使ったり、おやつにするなどして、できるだけ食べきるように心がけましょう。
お供えを食べきるために
ご先祖様を思ってたくさんのお供え物を用意することはとても素晴らしいことです。しかし、それがゴミとなって処分することのないように、購入するときには少し量にも注意してみましょう。
お供えした物を最後食べきることができるか、ゴミとして捨ててしまうような、もったいないことにならないか、考えてから買うようにしましょう。
お供えをすぐに下げてもよい
お供え物は、供えてからすぐに下げて食べていただいても結構です。
お盆の期間は13日から15日までありますが、その期間ずっと供えておく必要はありません。
お供えをして、手を合わせてお参りをしたら、すぐに下げて食べても問題ありません。
傷みやすい物は控える
バナナや桃など、果物は足が速く痛みやすいです。特にお盆のように夏の真っ盛りだと特にそうです。
必ずしもそれらの果物が必要というわけではないので、痛みにくい果物や野菜などを厳選してお供えするようにしましょう。
庭にまく
お霊供膳やお仏飯などは、庭などにまいてもいいでしょう。
仏教には「生飯(さば)」という言葉があります。私たちが食べるご飯を、少し取り分けて外にまき、鳥などの生き物に食べさせるのです。
自分たちが食べるだけで無く、他の生き物にも分け与えるという行為は「布施」であり、これによって自分自身の功徳を積むのです。また、こうすることで有縁無縁の餓鬼やご先祖様を供養することにもなります。
ただし、どこにでもご飯をまいていいわけではありません。地域の住民の人たちの迷惑にならないようにしましょう。
どうしようも無い場合は
お供え物が腐ってしまって食べることもできず、どうしようもなくなってしまった場合は、仕方が無いので生ゴミとして自治体で決められた方法で処分してください。
決して海や川に流したり、不法投棄をしてはいけません。
「お供え物ゴミ」の問題
実はお盆のお供え物は、時期が夏場ということもあり、傷んでしまって食べられなかったり、お供え物を食べるということが忍びなくて捨てているということが少なくありません。
結果としてゴミとして処分せざるを得なくなり、お盆が終わる頃には「お供え物ゴミ」が大量にあふれているという現状があります。
せっかくご先祖様のためにしていることが、かえって自分たちの住んでいるところの環境破壊につながっていては、もともこもありません。
これを知ってご先祖様は、どんな風に思うでしょうか?
また、自分が死んだ後、子供や孫たちが自分のために用意してくれたお供え物で、ゴミがあふれる状況を見たとき、どう感じるでしょうか?
最後に
お供え物をしてご先祖様を供養することはとても大切なことです。
しかし、それで終わりでは意味がありません。
- お供え物はできるだけ食べる
- 食べられるだけ用意する
- 供えたらすぐ食べる
- 腐りにくい物を用意する
などなど、工夫をこらして、できるだけゴミとして処分しないように心がけましょう。