やさしく接するとやさしくかえってくる
寝ようと思って布団に入ったとき、鼻がむずむずして収まりがつかなくなりました。
そしてついに、仰向けのまま、口元を押さえることもせずに、思いっきりくしゃみをしてしまいました。
すると、顔の上に冷たいものが降ってきました。
考えるまでもなく、くしゃみによって飛ばされた飛沫が、そのまま落ちてきたのです。
まさに、天に向かって唾を吐いたのでありました。
人に害を与えようと思ってしたことが、かえって自分に災いが招くことを「天に向かって唾を吐く」といいます。
言い方をかえれば、自業自得であります。
「業」とは心や体による行為のことです。
心で思ったり、言葉を発したり、行動をすることで、その結果として何かしらの報いを受けることになります。
善いことをすれば楽を受け、悪いことをすれば苦を受けます。
自業自得というと悪いことばかりのように思いますが、善においても自らの業によって自らその報いを受けるのであります。
お釈迦様は、
「みずから悪をなすならば、みずから汚れ、みずから悪をなさないならば、みずから浄まる。浄いのも浄くないのも、各自のことがらである。人は他人を浄めることができない。」
と、ことばを残しておられます。
ふと、金子みすゞさんの詩を思い浮かべました。
『こだまでしょうか』
「遊ぼう」っていうと
「遊ぼう」っていう。「ばか」っていうと
「ばか」っていう。「もう遊ばない」っていうと
「遊ばない」っていう。そうして、あとで
さみしくなって、「ごめんね」っていうと
「ごめんね」っていう。こだまでしょうか、
金子みすゞ名詩集 [ 金子みすゞ ]
いいえ、誰でも。
自分で行った行為は、必ず、いつか自分にかえってくるのであります。
優しさがほしければ、やさしく接していくように心がける必要があるのです。