「生けらば念仏の功つもり死なば浄土へ参りなん」

画像:文化遺産オンライン

「生けらば念仏の功つもり死なば浄土へ参りなん」

私たち人間の最大の悩みは、「死」ではないでしょうか。

死にたくなくても死ななければいけない。

昔とくらべてだいぶ長生きになったとはいえ、それでもたった100年の命であります。

死んだらそのあとはどうなるのでしょうか。

それは、生前の行いによってまた別の世界へと生まれ変わるのであります。

生き物は六道という6つの世界を生まれ変わり死に変わりして輪廻しているといわれています。

修羅

畜生

餓鬼

地獄

そして、良いことをしていれば死んだ後には良い世界に生まれます。

悪いことをしていれば地獄などの悪い世界に生まれます。

さて、自分はいったいどの世界に生まれるのでしょうか。

それは、死んでみるまでわからないことです。

そして、この六道を抜け出たところが、極楽浄土という仏の世界であります。

念仏をすれば、六道を抜け出して仏の世界に生まれ変わることができます。

それは、自分の力ではありません。

阿弥陀仏の力によって、往生することができるのです。

こんなありがたいことはありません。

法然上人は

「生けらば念仏の功つもり死なば浄土へ参りなん。とてもかくてもこの身には思ひわづらう事ぞなきと思ひぬれば、生死ともにわづらいなし」

といいます。

生きている間には念仏の功徳を積み、命終れば阿弥陀仏の力によって極楽浄土に往生することができる。

これをよくよく心得ると、生や死をめぐって思い悩むことはないというのです。

最近「終活」ということばをよく聞きます。

終活とは、死を見つめることによって今の生き方を見直し、生き甲斐のある生活を送っていくための活動です。

生き甲斐のある生活を送っていくために、死を見つめることはとても大切な事であります。

思い悩むことなく、毎日を安心して生きていくために、そして安心して死んでいくことができるために、その心構えを、法然上人は語って下さっているのであります。

念仏とは、「おかげさま」であります。

「おかげさま」で生かせていただき、「おかげさま」で極楽浄土に往生させていただく。

その思いを忘れずに過ごしていきたいものであります。

参考