宗派によってそれぞれ持ち方が違う数珠。
西山浄土宗ではどのような持ち方をするのでしょうか?
わかりやすく解説します。
数珠の持ち方
数珠は仏事では欠かせない道具です。
大切に扱うようにしましょう。
【西山浄土宗】数珠の持ち方
西山浄土宗の数珠の持ち方はとても簡単です。
ポイントは2つ。
・左手で持つ
・右手で持たない
これだけです。
左手の親指と人差し指の間に挟むようにして持ちます。数珠の輪っかの中に右手を通すことはありません。写真のように、左手に持ったまま合掌します。
また、合掌しない場合は、そのまま左手で持っておくか、左手の手首にかけておくようにしましょう。
左利きの場合も同じです。数珠は利き腕と反対の手で持ちません。左利きの人も必ず左手で持ちましょう。
なぜ数珠は左手で持つの?
古来インドでは、右手は浄の手、左手は不浄の手とされています。この区別によって、食事をする時は右手、トイレでお尻を拭くのは左手と、日常生活の中でも右手と左手を使い分けていたといわれています。
そんな不浄の手である左手を清めるために、数珠は左手で持つようになりました。
数珠の種類
数珠は浄土宗用のものを使いましょう。
浄土宗の数珠は特徴的で、輪っかが二つつながった2連の数珠を使います。これはお念仏の数を数えるために、法然上人の弟子の阿波之介が考案されたものです。
ひとつの輪に珠が27個、もうひとつの輪に20個、そして下に垂れ下がっている房にも珠がついていて、片方の平たい珠は10個、もう片方の丸い珠は6個あります。
これらを合計すると、27×20×10×6=32,400となります。
これは108の300倍の数で、法然上人は一日に3万遍のお念仏をすることをすすめられました。
法然上人はこのようにして数珠を繰って数を数えながらお念仏することを日課としていたので、この数珠を日課数珠ともいいます。
【注意!】浄土宗とは持ち方が違う
総持寺は西山浄土宗です。総本山は京都長岡京市の光明寺です。
知恩院を総本山とする浄土宗とは宗派が違います。宗派が違うので、数珠の持ち方も違います。
間違えないようにしましょう。
数珠に関する注意点
いろいろ気になることがあるんだけど・・・?
いざ仏事となった時に「そういえば・・・」と気になることがありますよね。
そんなよくある疑問にお答えします。
数珠の貸し借りはいいの?
数珠を忘れちゃった・・・
お焼香をする時に数珠を借りてもいいの?
数珠の貸し借りをすること自体、問題ありません。
しかし、数珠を忘れたことを気にする必要ありません。
大事なのは仏様やご先祖様に向かって手を合わす心です。
持ってないなら持ってないで大丈夫。忘れたら忘れたで大丈夫。
数珠が無くても、どうぞ遠慮なくお焼香してください。
持っている数珠は宗派が違う
貰った数珠があるけど、宗派が違うみたい・・・
買わなきゃダメかな??
宗派が違う数珠を持っていても何も問題ありません。
これは「正式には」の話であって、「必ず」の話ではないからです。
例えば、亡くなったお父さんから買ってもらった大事な数珠が、実は他宗の形の数珠だったとか、数珠を買うには費用が高すぎて買えないとか、いろんな事情があると思います。
また、嫁ぎ先と実家とは宗派が違うとか、遠い親戚だから宗派が違うということもあるでしょう。
宗派が違えど、数珠は数珠です。遠慮なく今使っている物をお使いください。
パワーストーンでもいいの?
パワーストーンが好きで、きれいな石の数珠がいいけど・・・
どうぞお好きなものをお使いください。
例えば「タイガーアイ」は「虎目石」、「ガーネット」は「柘榴石」というように、昔から使用されているものです。
「パワーストーンはふさわしくない」と言う人もいますが、持っている本人が数珠として認識し、数珠として扱っているなら問題ありません。
選び方
いろいろ考えて、やっぱり買おうと思うんだけど、どうやって選んだらいいの?
数珠は好みです。好きなものを選んでください。
数珠は本当にピンからキリまであります。何をどのようにして選んだらいいかわからないのも当然のことかもしれません。
そこで、選び方のコツとして、次のような順序で考えるといいでしょう。
数珠の選び方のコツ
1、宗派を確認する(浄土宗用)
2、予算を決める
3、色を決める
4、石か木か選ぶ
5、実際に持ってみる
私はこのようにして選んでいます。
やっぱり一番気になるのは値段ではないでしょうか。ざっくりいうと、材質が石のほうが、木より高い、ということです。あとは木の種類、石の種類によって値段が変わります。
上限を決めておかないと、上はいくらでもあるので、場合によっては悪質なお店の場合、口車に乗せられてしまいかねません。
正直ここだけの話、数珠は安いものでかまいません。5000円あればそれなりにいいものが買えるでしょう。
また、石のもの木のものより重たいです。さらに、男性用、女性用と分けられている場合が多いので、男性が女性用と書かれた数珠を購入すると少し小さく感じるかもしれません。
かといって、必ず男性用でなければいけないこともありません。男性でも女性用と言われている珠が小さく細いものを使っても問題ありません。実際、女性用とされる小さなサイズのほうが軽くて使いやすいと感じることもあります。
男性用、女性用はあまり気にすることなく、そのうえで自分の手に合うサイズのものを選びましょう。
最後に
数珠は仏事において大切なものです。
しかし、それより大切なのはその仏事に参加した時の、仏様やご先祖様に手を合わす心です。
お焼香の時に数珠が無くてもいいし、宗派が違っても気にすることはありません。
間違って右手で持ってしまっても、咎めることはありません。
数珠が気になって集中できないなら、初めから使わなくてもいいと思っています。
マナーやしきたりにとらわれず、上手に数珠を使用しましょう。