【お盆とは?】お盆の由来、お盆の過ごし方

お盆は日本のよき風物詩です。(写真:photo-ac)

古くから伝わる伝統行事の「お盆」

この期間には実家へ帰ってお墓参りをしたり、家のお仏壇にお寺さんがお参りに来たり、帰省もかねて家族旅行をしたりと、忙しい日を過ごす方が多いのではないでしょうか。

一年で一番大きな仏教行事ともいえるお盆ですが、そもそもお盆はどんな行事なのでしょうか?

お盆の由来

お盆は「盂蘭盆(うらぼん)」ともいい、「盂蘭盆経(うらぼんきょう)」というお経に基づいて行われています。

盂蘭盆という言葉の由来

「盂蘭盆」という言葉にはいくつか説がありますが、近年では「odana」という古代インドの言葉が元になっているという説が有力とされています。

「odana(オーラナ)」は「ご飯」という意味があります。それが訛って「olana(オーラナ)」となり、中国で漢訳されたときに「盂蘭」という字が当てはめられました。「盆」は文字通りお盆のことで、物をのせる器のことを指します。

つまり「盂蘭盆」という言葉は、「ご飯をのせるお盆」という意味になります。

盂蘭盆経の内容 

お盆の行事は「盂蘭盆経」というお経が元になっています。では、「盂蘭盆経」とはどういうお経でしょうか。

 

お釈迦様の弟子で、目連という人がいました。

目連は修行の末に神通力という不思議な力を得ることができました。そこで、その力を使って亡くなった母親がどの世界に生まれ変わっているのかを見ることにしました。

すると、悲しいことに「餓鬼道」という苦しみの世界に落ちていることがわかったのです。

「餓鬼道」では食べるものが食べられず、飢えに苦しむ世界です。

餓鬼道で苦しむ母親の姿を見た目連は、驚いてすぐさま神通力を使って助けてあげようとしました。

鉢にご飯を盛って母親に差し出します。しかし、それを受け取った母親がご飯を食べようと手で口元まで持ってくると、口に入れる前にご飯が燃えて炭に変わり、そしてとうとう母親はそのご飯を食べることができませんでした。

これを見て目連は大いに嘆き悲しみました。そこで、急いでお釈迦様の元へ行って救いを求めました。

母親が餓鬼道に落ちたことを話すと、お釈迦様は「あなたの母親は生前の罪が深くて餓鬼道に落ちたのだ」と言いました。

そして、「一人ではどうすることもできないが、みんなの力を借りればそこから救うことができる。私は今からあなたに、その方法を教えよう」と、目連の母親を餓鬼道から救うための教えを説かれました。

その方法はこうです。

修行僧たちは雨期の間、外に出ることなく修行場の中に籠もって修行をしたり勉強をしたりします。

その期間が終わる7月15日、過去7世の父母から今の父母まで苦しんでいる人たちのために、たくさんの食べ物や坐具寝具を用意して器に盛ってお供えして、修行僧に供養しなさい。

修行僧みんなが心を一つにしてこの布施された食事をいただくなら、その功徳はとても大きいだろう。

現在の父母から七世の父母に至るまで、そして親族など、苦しみから抜け出して、天に生まれることができるだろう。

これを聞いた目連は大変喜び、この方法によって母親は餓鬼道の苦しみから免れることができたのです。

そして、目連が聞きました。「私の母親はこの方法で救われましたが、未来の人々はどうでしょうか。同じように救われることができるのでしょうか」

お釈迦様は答えました。「父母と過去7世父母のために、7月15日、たくさんの食事を盛って布施をするならば、苦しみがなくなり過去7世の父母は餓鬼道からの苦しみから 免れて天に生まれるだろう」

それを聞いて目連と他の弟子たちは、大いに喜んだのでした。

ご先祖様が帰ってくるの?

「盆はうれしや別れた人も 晴れてこの世に会いに来る」(写真:パブリックドメインQ)

お盆には「地獄の釜の蓋が開いてご先祖様が帰ってくる」といわれていますが、これは仏教とは別に日本古来からある民間信仰によるものです。

日本では昔から、夏の時期になるとご先祖様が帰ってくると考えられていました。これに、死んだ人は「黄泉の国」に行くという考え方が合わさり、「地獄からご先祖様が帰ってくる」という考え方が生まれたのです。

そこに、仏教のお盆の行事が合わさり、ちょうど季節が同じ時期にもなるので、「お盆にはご先祖様が帰ってくる」となったのではないかとされています。

 

「ご先祖様が帰ってくる」という考え方が、もともと仏教の教えにあるとかないとかいう議論があります。しかしそれより大切なことは、現代の人たちの多くは「お盆にはご先祖様が帰ってくる」と信じているということです。

「盆はうれしや別れた人も 晴れてこの世に会いに来る」という歌があるように、大切な人と死に別れることはとてもつらく、その人が帰ってくるとなるととてもうれしいことです。別れた人と再び会うことで、その人の喜びが大きくなり、生きがいができれば、こんな素晴らしいことはないのではないでしょうか。さらに「盂蘭盆経」にもあるように、帰ってくるとされるご先祖様や仏様に対して食べ物をお供えして供養することは、大きな功徳にもなります。

ご先祖様が帰ってくるかどうかも大切なことですが、今を生きる私たちがどんな行動をとるかが大切なのです。ご先祖様が帰ってくると信じてお供えをして供養し、功徳を積むことで、その人のよい人生が開けてくるというものです。

お盆の過ごし方

お盆はどのようにして迎えたらいいのでしょうか。

お盆の期間

お盆は「盂蘭盆経」というお経に基づいて行われています。そのお経の中に「7月15日に食べ物を供えて供養する」とあることから、7月15日に行われます。

ただしこれは旧暦の7月15日なので、現在の新暦に当てはめて8月15日に行われているところも多いです。

また、ご先祖様が帰ってくるという習慣から、13日に迎えて、16日に送るとし、あわせて7月13日から16日、あるいは8月13日から16日が、お盆の期間とするのが一般的です。

ご先祖様の祀り方

精霊棚の一例。

お盆の期間中は、お仏壇とは別に精霊棚を設けてお供え物を用意します。

精霊棚はお仏壇の前に置いたり、家の外に用意したりと、地域によって違いがありますが、ここにお供え物を置いて供養します。机などでかまいません。

お供え物は何を供えても結構です。キュウリやナス、トマトなどの季節の野菜や、バナナやリンゴなどの果物、落雁などのお菓子、団子やそうめんなどをお供えしてもいいでしょう。そして、お霊供膳も用意します。

お盆は特定の故人を供養するだけでなく、過去のたくさんのご先祖様、そして無縁の仏様も供養します。だからいつも以上にたくさんのお供え物を用意して、たくさんのご先祖様や仏様に食事が行き届くようにしているのです。

初盆の迎え方

前年のお盆以降に亡くなって、今年初めてお盆を迎えることを「初盆」といいます。また「新盆」ということもあります。

地域によっては亡くなって3年まで「新盆」「新仏」とするところあります。また、「新仏」に対するお盆の期間も長くなったりと変わる地域もあります。

初盆を迎える場合、初盆だけの精霊棚を設けます。他のご先祖様とは分けて特別にお祀りして供養をするのです。

やぐらを用意し、その中に位牌やお寺でもらった塔婆などをお祀りします。さらに、提灯などで飾り、お霊供膳を用意して、野菜や果物などをお供えします。

「迎え火」「送り火」とは

ほうろく皿の上でおがらを焚いて「迎え火」「送り火」を用意します。(写真:photo-ac)

帰ってくるご先祖様が、道に迷わないようにという願いから、「迎え火」を焚きます。13日にお墓へいってお参りをし、おがらに日をつけてご先祖様をお迎えします。また、16日にご先祖様を送るときにも、今度は「送り火」を焚いて送ります。

ほうろく皿の上でおがらを焚く方法が一般的ではないでしょうか。

個人でする場合や、お寺でする場合、地域で合同にする場合などあります。個人でする場合には火の取り扱いには十分注意し、できない場合は無理にする必要はありません。ちなみに京都では「五山の送り火」が有名です。

キュウリの馬とナスの牛

キュウリの馬とナスの牛(写真:photo-ac)

少し余談にはなりますが、キュウリで馬を作り、ナスで牛を作ってお供えする習慣もあります。

ご先祖様が帰ってくるときには馬に乗って早く帰ってきてくれるように、帰りは牛に乗ってゆっくりと帰って行ってもらうようにとの気持ちが込められています。

近年では馬と牛に代わって、車やバイクなどを作る人も出てきました。どちらにせよ、少しでも長く、大切な人と一緒にいたいという思いが表れています。

最後に

仏教の行事の中でも、お盆は特に地域性が表れているように思います。同じ県内、同じ市内でも、ちょっと場所が変われば習慣が全く違っていると言う場合が多いです。

ここで紹介したのは、あくまで一般的な方法であって、これが必ず正しいというわけではありません。もちろん、インターネット上に掲載されているお盆に関する記事も、あくまでたくさんある習慣のうちの一つであるということを覚えておいてください。

自分の育った地域やお寺、家庭に伝わる方法で、お盆をお迎えください。

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