【彼岸法話】テレビに集中するとその場を離れない子どもに見る仏教の精神状態

夢中になっている子どもの精神状態とは

四年に一度のスポーツの祭典であるオリンピック、パラリンピックが東京で開催されました。

テレビやインターネットの画面越しですが、これほどたくさんのスポーツを観戦し、また普段は見ることのないような競技を見ることは、めったにありません。さらには、会場が東京と言うこともあり、とても貴重な機会なので、気が向けば子どもと一緒になって観戦しています。

あまりスポーツを見ない息子ですが、オリンピック、パラリンピックには少し興味を持ってくれたようです。

ところが少し困ったことに、息子がテレビを見だすとなかなかその場から離れなくなってしまいます。

夢中になって見ることはいいことですが、声をかけても返事がなかったり、返事があっても空返事で聞いていなかったりします。

何かにのめり込んでいるときの子どもの集中力には、すさまじいものを感じることがあります。

 

実は人間は二つの事を同時にすることができません。

見るときは見るだけ、聞くときは聞くだけしかできません。

それを、瞬きの二十倍の早さという、ほんの瞬間の間で入れ替わり立ち替わり行い、受け取った情報を頭の中でつなぎ合わせて見ているのです。

それは、例えばコマ撮りのフィルムを映写機でスクリーンに映し出したものを、実際に動いているもののように見ているのと同じようなものなのです。

だから、子どもがテレビに集中するあまりにこちらの声が届いていないのは、実は当然のことなのかもしれません。

 

私たちはこのように一瞬のうちにたくさん入ってくる情報に惑わされて、悩み苦しんでいます。

そこでお釈迦様は、外から入ってくる情報をすべてシャットダウンし、意識をすべて自分の心に向けることで、心の状態を知り、煩悩を打ち消して、真の安楽を手に入れることができました。これを、「禅定」といいます。

お彼岸では「布施」「持戒」「忍辱」「精進」「禅定」「智慧」の六つの修行をしましょうと説かれますが、そのうちの一つが禅定です。

目や耳など五感から取り入れる情報に惑わされることなく、自分の心を見つめなおすことで、安らぎの心を作り上げていくのです。

お彼岸の一週間を、忙しい日常生活を離れてご先祖様を偲び、ゆっくりと自分を見つめなおす期間にしましょう。