「だれが風を見たでしょう」クリスティーナ・ロゼッティ

「だれが風を見たでしょう」クリスティーナ・ロゼッティ

寒い日が続いています。

頬が凍てつくような冷たい風が時折吹いて、思わず身をすくめてしまいます。

落ち葉が風にあおられて高く舞い上がる様子を見ながら、「風」という詩を思いだしました。

「風」
クリスティーナ・ロゼッティ作
西條八十訳

誰が風を見たでしょう
僕もあなたも見やしない
けれど木の葉をふるわせて
風は通りぬけてゆく

誰が風を見たでしょう
あなたも僕も見やしない
けれど樹立が頭をさげて
風は通りすぎてゆく

深く考えさせられる詩です。

確かに、誰も風を見たことがありません。

しかし、確かに風はそこに吹いているのです。

それをどうやって知ることができるのでしょうか。

それは、葉っぱが宙を舞っているのを見たり、木が枝をしならせて何度も上下しているのを見たりして、その様子から判断しているのです。

見えないものに目をむける、とても奥が深い詩だと思います。

私はこの詩を読みながら、人間と同じだと思いました。

目に見えないけれど、見えるものを通して見えてくるものを、私たちも持っています。

それは「心」です。

心は目に見えません。

しかし、心遣いは見えるものです。

相手を思いやる気持ちがあれば、それは自然と行動に表れてでてくるものです。

相手のことをどれだけ大切に思っているか、相手からどれだけ大切に思われているか。

お互いの心を、言葉や行動を通して理解していくのです。

見えないものを見ることはできません。

しかし、見えるものを通して見ることはできます。

どれだけ自分がいろいろな人に思われながら生きているか。

しっかり考えながら生活していきたいものであります。