本山光明寺では、お寺の弟子である中学生を対象に、研修会を行っています。
これまでは2泊3日で7月に行っていましたが、新型コロナの影響で数年前から1泊2日と規模が縮小された上、夏はあまりにも酷暑で大変であるということから、今年は試験的に冬の開催となりました。
毎年お手伝いに行かせて頂いており、今年も参加させて頂きました。
中学生と一緒に2日間を本山で過ごします。あくまで研修会ですので、楽しく和気あいあいとしながらも、講義や私生活の面でやるべきことはきちんとするよう指導していきます。
なかでも特徴的だと思うのが、お経の練習をするところではないでしょうか。
中学生を対象とした研修会は、きっといろいろなところで開催されているでしょう。しかし、お寺の弟子となっている子どもたちばかりが、本山に集まって研修会をするという機会は、他にもそう多くはないのではないでしょうか。
中学生とはいえ、自坊の弟子であるところから、お盆や何かの行事の時には手伝いにかり出されることもあるでしょう。そういうときに役に立つようにということも含め、お経の練習をするのです。
短い時間の中で、講義の半分ほどをお経の練習にあてます。幼い頃から自坊でお手伝いをしていたり、研修会のために練習してくる子もいれば、全く何も知らずに参加している子もいます。区別することなく、全員がしっかりとお勤めができるように、できるだけ多くの経験を積んでもらうようにしています。
自坊のお手伝いをしてきている子は最初から上手にこなし、初めての子はお経を称えるどころか文字を追うだけで精一杯です。それでも、何度も何度も繰り返し練習している内に、その違いが分からないほど上達していきます。さすが中学生、若いだけ合って教えることの飲み込みは格段に早いように思います。
さて、こうして中学生にお経を指導しながら、いつも自分を反省する思いをしています。
初めて読むお経です。できないなりに一生懸命に取り組む姿は、他にも代えがたいすばらしいものがあります。
私の方がお経が上手であたりまえです。でも、じゃあ私の読むお経と中学生が読むお経と、どちらがありがたいのでしょうか。
きっと子どもたちは、とにかく言われたことに必死で取り組み、無心で文字にかぶりつき、出せるだけの声を精一杯出しているでしょう。
では自分はどうか?恥ずかしながら「お腹がすいた」「足が痛い」「眠たい」など考えながらお経を読んでいるときもあるのが実際のところです。
間違いなくお経が上手なのは私ですが、中学生の方が気持がこもっているのではないでしょうか。そう思うと、本当にありがたい思いで、子どもたちのお経の声を聞かせて頂いています。
仏さまから見れば、どちらも同じお経であります。そのことを思えば、自分と子どもを比べて見ていることが恥ずかしくてたまりません。
ただただ、仏さまの救いに預る身であります。自分も中学生に戻ったように、初心に返ってただひたすらに打ち込むことを忘れてはいけないと、いつも学ばせて頂いています。

