たとえためになることを数多く語るにしても、それを実行しないならば、その人は怠っている。
―――牛飼いが他人の牛を数えているように。彼は修行者の部類には入らない。たとえためになることを少ししか語らないにしても、理法にしたがって実践し、情欲と怒りと迷妄とを捨てて、正しく気をつけていて、心が解脱して、執着することのない人は、修行者の部類に入る。
『ダンマパダ』19、20
言葉よりも実践を!
昔から「言うは易く行うは難し」というように、言葉で口に出すことはとても簡単なことですが、行動で実際に実践して行動に起こすことは、とても難しいものがあります。
ブッダもその点について、たくさんの教えを残されています。
ブッダは、ためになることを数多く語ったところで、実践しない人は怠けていると言いました。
「牛飼いが他人の牛を数えているように」というのは、一つのたとえですが、自分のすべきことをせずに他人に口出しばかりしている様子を表しています。自分の牛の数を数えず、世話もせず、他人の牛の数を数えることは、何の意味もないことです。
反対に、言葉ではあまり語ることはなくても、ブッダの教えに従い、執着を捨てて自分自身の言動に注意しながら生活している人は、怠けていない、よく実践している人なのです。
自分自身の行動を振り返ってみると、実際のところどうでしょうか?他人にあれこれ言うだけ言って、自分は何も実践していないということも、要あるのではないでしょうか?
例えば、親が子どもに対して「いつまでテレビ見てるの!」「いつまでユーチューブ見てるの!」「早くご飯食べなさい!」「お片付けしなさい!」「いつまで起きてるの!」と叱ることがあります。しかし、よく考えてみてください。親が同じ行動をしていないでしょうか?
特に子どもの場合、親が言ってもいうことを聞きませんが、親がしていることはすぐにマネをして覚えてしまいます。子どもは親の写し鏡といえるでしょう。子どもの様子を見て、親が自分自身の行動を見直すこともとても大事なことなのです。
話が少しそれましたが、いずれにせよ自分で実際に行動し実践しなければ、どんなにいいことを言ったとしても相手は聞く耳を持ちません。逆に、何も言わなくても、自分自身の行動を見せることで、相手の行動も変わるのです。
口ばかりが達者になり、言いたい放題言って、さらには過去に自分が積み上げてきた功績を自慢し、相手に押し付けるような人は、周りからの信頼を得ることもできません。
自分自身の行動を注意して見直し、正しく実践するようにしましょう。