境内にある「仏手柑(ブッシュカン)」の実がなりました。
仏さまの手の形に似ていることから「仏手柑」とよばれ、幸福を呼ぶとして縁起のいい柑橘種といわれています。
ところで、仏手柑とはどんなものなのでしょうか。
「仏手柑(ブッシュカン)」幸福を呼ぶ柑橘種
仏手柑とは?
仏手柑(ブッシュカン)とは、ミカン科ミカン属の常緑低木樹で、「カボス」や「ユズ」などと同じ香酸柑橘類の一種です。
レモンに似ている果物である「シトロン」の変種といわれていています。
果実の先が枝分かれしていて、とても独特な形をしていますが、その形が仏さまの手の形に似ているところから、「仏手柑」と名づけられました。
英語でも「Buddha’s hand(ブッダの手)」と表記されています。
原産地は正確には不明ですが、一般的には東南アジアと考えられています。
古くから栽培され、その香り高い果実が重要視されてきました。
現在では、世界中で広く栽培され、日本や中国などで特に人気があります。
仏手柑は幸福を呼ぶ
東南アジア原産の仏手柑は、日本には、室町時代から江戸時代あたりの時期に伝わったといわれています。
日本での生産地は、鹿児島県と和歌山県、佐賀県などでも作られています。
商業的な栽培をしている農家は少ないので、珍しい果実なのです。
希少価値の高い仏手柑を、縁起物としてお正月に飾ることで、幸福を呼ぶともいわれています。
形が仏さまの手に似ているので、仏さまの手に導かれて仏の世界に生まれたいと願ったり、悟りという真の幸福を得たいという思いもそこに込められているのでしょう。
仏手柑の特徴
仏手柑は、なんといってもその独特な形が特徴的です。
指のように細長い突起が複数ついた形状をしているので、まさに仏さまの手のようです。
果皮からは爽やかで柑橘系の香りが広がり、レモンに似た香りがするという人や、キンモクセイやスミレの香りに例えている人もいます。
また、仏手柑はほとんど果肉がなく、身を割ってみると綿ばかりで、他の柑橘類と比べると食べるところはありません。
主に観賞用に使われています。
仏手柑は主に観賞用
仏手柑は果肉がほとんどないために、主に観賞用に使われています。
割ってみるとよい香りがしますが、味は酸味が強いので生食には向いていません。
皮の部分を砂糖漬けにしたり、マーマレードのようなジャムなど、加工して食べることはできるでしょう。
仏手柑は昔から、お茶席や生け花などの席で飾られる花材として使われてきました。
また、年末年始にあわせて実が大きくなるので、正月飾りとしてよく使われます。
鏡餅の上に橙(だいだい)をのせて「家が代々(だいだい)続きますように」と願いますが、同じ柑橘類として仏手柑にもその意味を持たせて飾ります。
水引を巻いたり、南天と一緒に飾るなどして、縁起のいいものとして好まれています。
仏手柑にも栄養がある
仏手柑には「ヘスペリジン」という成分が含まれていますが、この成分には毛細血管の強化や血流改善効果があると認められています。
また、昔から漢方でも用いられてきました。
ビタミンCと共に働き、毛細血管を細菌やウイルスから守り、またビタミンCの消耗を防ぎながら、しなやかで強い血管を保つことができます。
「ヘスペリジン」には、このように末梢血管を強くする作用があるほかに、高脂血症を予防する作用などがあることも報告されています。
仏手柑は鉢植えで育てられる
仏手柑は鉢植えで簡単に育てることができます。
場所は、半日以上、日のあたる所に置くようにします。
強い風があたらない所には置かないように注意しましょう。
適度に水はけの良い土に植えて、土の表面が乾いたら水を与えます。
春からは、気温上昇を考えながら、水を与えるようにしましょう。
特に開花後は、水切れを起こすと落花の原因になりますので十分注意が必要です。
しかし、水や肥料の与えすぎで枯れてしまうこともあるので、気をつけるようにしましょう。
最後に
仏手柑について紹介しました。
幸福をよぶ縁起のいいものとして親しまれている仏手柑。
ぜひ育ててみて、お正月や来客の席に飾ってみてはいかがでしょうか。